「はぁ……はぁ…はぁ」
一昨日と同じ様に、身体に重みを感じて目を開けると衛さんがまた跨っていた。
「っ………」
叫ぼうにも、恐怖の余り声が出ない。
「柚葉……俺の柚葉……綺麗だよ。」
必死で無言の抵抗をする私を綺麗だと言う衛さん。
「俺の為に泣いてくれたんだろ。」
…違う。お前の所為で泣いたんだ。
「目が腫れた時は焦ったけど、やはり君は目が腫れても美しい。完璧だ。」
何が美しいのか、何が完璧なのか、私には理解出来ない。
……理解したくない。
また、自分の未来を諦め私は抵抗を止めた。
すると、待っていましたとばかりにそそくさと行為を終わらせる衛さん。
「誰にも言うなよ。」
私をまた脅して部屋を出て行った。
そして私はまた、シャワーを浴びる。
身体が赤くなっても気にしない。
血が出ていても気にしない。
溢れ出てくる感情を、必死で押し殺したら涙なんか出なかった。
次の日、私は衛さんへの感情を全て消して何事も無かったように学校に行った。
「おはよー柚!」
「風邪大丈夫?」
「心配したよーー」
学校に行けば、教室に入れば、何もしなくとも集まってくる友達。
私だって、一人になりたい時くらいある。
でも、勝手に寄ってくるんだから仕方ない。
だから、誰にも何も悟られないように
「久しぶりに熱出ちゃってさー」
笑顔で対応した。
誰かの話によると、私は学校のアイドルらしい。
意味分かんないけど。
「新藤はよー」
「久しぶりな感じするわ」
「お前がいねぇと華がないんだよな」
ビクッ
「おい、新藤…?」
いつもの様に話しかけてきた男子に、思わず身体が固まる。
そんな私を心配そうに見るクラスメイト。
「もぉーいきなり話しかけないでよ。
ビックリしたじゃん!」
「わりぃわりぃ」
我に帰って、何も悟られないようにいつもの笑顔で対応する。
危なかった……
誰にも、知られたくない。
その一心で、私は自然と笑顔になれなくなった顔を無理やり笑わせてた。


