「なぁ、俺と"契約" しないか?」
「契約……?」
不思議そうな顔をする新藤。
「あぁ。俺は女嫌い。お前は男嫌い。」
「そうだね。」
卑怯な俺はそれを利用するんだ。
「俺は女避け、お前は男避けの為に付き合う。
って言うのはどうだ?」
頭の回転の速い新藤なら、その意味が分かるはず。
「へぇ。それはいいね。」
ほらな?
ニヤリ、と口角をあげる新藤。
「お互いを利用するのね。
私と天野くんが付き合えば、寄ってくる人なんて居なくなるもんね。」
「あぁ。」
新藤と付き合いたいが為に、俺は絶対に呑み込んでもらえる条件を出した。
「"契約"ならさ、幾つか条件出していい?」
「あぁ。」
「"契約" がするって言うか、利害の一致だよね。
だから、私は天野くんを女の子から、
天野くんは私を男から守る。
近寄らないようにね。」
「あぁ。俺はお前を守る。」
俺はお前の盾となる。
お前は俺の盾となる。
お互い、守り守られる。
「あとは、"このこと"を誰にも話さないこと。
私の事は言っちゃダメ。」
「あぁ。」
「それと、私の事本当に好きか分かんないけど
もしこれから先、本気で好きな人がどっちかに出来た場合は別れる。
それくらいかな?」
「わかった。」
俺はこれから先も、お前以外の女を好きになるなんてありえねぇ。
「"契約" 成立。よろしくね?天野くん」
「苗字は辞めないか?
付き合うんだし、名前の呼び捨て。」
これは俺の我儘だけど。
「そうだね。よろしく玲央。」
「よろしく、柚葉。」
こうして俺たちは、"契約"を結んだ。
誰にも気付かれない、恋人として完璧な"契約"を。


