「君たちの姫と似た子を私が知ってるって話よ。聞きたい?」
「聞きたいです!」
「ちっ。」
雑談をし出す夏美さんにだろう、舌打ちをする玲央。
「私の患者にね、あんた達の姫と似た子が居るの。」
「患者なんですか?」
「そうよ。患者。個人情報だから詳しくは言えないけどね。」
「はい。」
内緒よ?と微笑む夏美さん。
「その子はね、本当に完璧なの。
勉強も運動も、必死に努力しなくても、そつなくこなしてしまう。
おまけに高校1年には見えない位、整った容姿をしてるわ。
女の私でさえ見惚れるくらいの。」
俺たちと同い年……
「でも完璧なのは見た目だけ。」
「見た目ですか?」
「そう見た目。他人から見たらなんでも出来て完璧ってだけ。
本当はその子は完璧なんじゃなくて、
"完璧であろう" と自分を偽ってるの。」
「偽る……」
どうしてそんなこと……
「その子は自分が完璧でなくちゃダメなんだって。そう言うの。
だからどんなに嫌な事も必死に我慢して、自分を偽って、体調を崩しても
それでも完璧であろうとするの。」
「………」
どうしてそんなに完璧に拘るんだろう。
完璧な人間なんて居ないのに。
「その子ね、何年か前に彼氏が出来たらしいの。
私が診てきた中で一番喜んでた。
自分と似たような男が居た、って。」
「似たような男?」
「そうよ。でもこれ以上は話せない。
さ。玲央が愛する倒れた彼女に会いに行きますかっ。」
ここから先は個人情報。
腰を上げて玲央に案内させる夏美さん。
「さっさと彼女んとこ案内しなさいよ」
「ちっ。わかってるよ。」
俺様な玲央と、私様な夏美さん。
本当に似ていると思う。
玲央の後ろに着いて、俺たちも柚葉ちゃんの元へ行くことにした。
……そう言えば、戒さん遅いな。
電話をしてから20分は経っている。
未だに玲央が戒さんを呼んだ理由はわからないが。
ガチャ
幹部室の隣にある黒で統一された、総長室に入る。
ベッドには、苦しそうに顔を歪めて眠っている柚葉ちゃん。
「……柚ちゃん?」
そして柚葉ちゃんの眠っているベッドを視界に入れるなり、固まってそう呟く夏美さん。
知り合いなのか?
「柚葉の事知ってるのかよ」
不機嫌そうに聞く玲央。


