「柚葉の話ってなによ」
「まぁ、座れ。」
「………」
探るような目を俺たちに向けながらも、下に座る松下真梨。
「で?」
「柚葉と仲良いのはわかった。
だから俺たちに柚葉返せ。
お前が来てから柚葉とゆっくり出来てない。」
何て言えば良いか、全く考えてなかった。思いつきでこいつを屋上に呼んだから。
取り敢えず、思ったこと言ってみた。
「はっ?んな事知らないわよ。
私はあんた達の所為で柚葉と4ヶ月も会えなかったんだから、2週間位でブツブツ言ってんじゃないわよ。
小さい男ね。」
「質問を変える。
お前は柚葉の事、好きだよな?」
「……当たり前じゃない。」
俺が言ってんのは、友達として好きかじゃねぇ。
「柚葉を、俺と同じで愛してるんだよな」
「………」
こいつに感じてた違和感。
男が嫌いなら、柚葉だけ取って俺たちと居なければ良い話だ。
なのにこいつは、柚葉を取って俺たちと行動してた。
まるで柚葉との仲を見せ付けるように…
だから可笑しいと思ってた。
「やっぱりね」
「えっ!?そうなの?」
「レズねぇ。エロいわぁー」
「どうなんだよ松下真梨。」
「そうよ。私は柚葉を愛してる。
あんた達も気持ち悪いと蔑めばいい。」
何を言われても動じないであろう、強い目を俺たちに向ける松下真梨。
「別に蔑むような事しねぇよ。」
「あっそ。」
「松下ちゃんってレズ?」
優がそう聞けば
「男が嫌いでも、柚葉を好きでもレズじゃないわよ。
私は柚葉だから好きになったの!
柚葉じゃない女なんて眼中にないわよ!
ってか、柚葉以外の人間なんて興味ないから。」
睨みながら答えてくれた。
柚葉だから、ねぇ。
「あんた達なんかに柚葉を渡さない!
あんた達には仲間が居るんだから良いじゃない!」
「柚葉が居るから俺たち流星は成り立ってるんだよ。
お前が柚葉を必要なように、俺たちにも柚葉が必要。
だから柚葉は渡さない。」
「私の方があんたよりずっとずっと……何年も前から好きなのよ!
あんたより先に柚葉を思い続けてるのに!」
泣きそうな顔で睨みながら、怒鳴る松下真梨。
「だったら柚葉に好きだって伝えればいいだろ。俺と別れろって言えば良いだろ。無理にでも引き離せばいいだろ。
それをしないのはお前だ。」
「言われなくても、柚葉にあんたと別れろって何十回も言ってるわよ!
でも……柚葉があんたの事を幸せそうに話すから…!
無理矢理引き離せるわけないじゃない!」
「………」
「私は柚葉が幸せになれるならそれで良い。
だから柚葉に彼氏が出来たって聞いても何も言わなかった。
でも!私には柚葉しか居ないのよ!
だから仲間が居るあんた達には柚葉を渡さない。」
それは、俺が暴走族に入っていない普通の彼氏だったら何も言わなかったって事だよな?


