「偉い偉い。ありがとね?」
「柚葉の頼みなんだから、当たり前じゃん。嫌だったけど!」
何をこいつは頑張ったんだ?
「何を頑張ったの?」
薫が聞くと、ものすっごい嫌な顔しながら答えてくれた。
「この黒髪に演技でも彼女役をして助けてあげたことに決まっているでしょ!
人生最大の屈辱。黒歴史。
鳥肌立って気持ち悪かったんだからね!
あんた達の為に助けたんじゃないから!柚葉のお願いだから柚葉の為にやってあげたんだからね!
勘違いするんじゃないわよ!男!」
こいつは柚葉の為にって言うけど、助けてくれた事に変わりはないので
「勘違いしねぇよ。でも助かった。」
こんな奴に礼を言うのはイヤだから、感謝の言葉だけ言っとく。
ありがとうと礼を言うのと、助かったと感謝の言葉を言うのは違う。
他人はどう捉えるか知らないけど、俺の中では少なくとも区別されてる。
「ふんっ。そんな事言ったって柚葉との仲を認めてなんてあげないんだから!」
「………」
こいつは俗に言うツンデレってやつか?
柚葉の前でしかデレは存在しないが……
「てか、柚葉は俺のだからな。
てめぇなんかに渡さねぇ。」
「ふんっ、何をほざく負け犬。
柚葉は私のだから。せいぜい私と柚葉のラブラブっぷりを指咥えて見てなさい」
いちいち勘に障る奴だ。
わざと私との部分を強調しやがって。
誰が指咥えて見ててなんてやるか。
奪ってやる。つか、認めさせてやる。
それから倉庫に着くまで柚葉を挟んで言い争う俺たちを、ため息吐いて聞いている柚葉だった。


