「松下って彼氏いる?」

「彼女にしてぇー!」


そして定番の質問をそいつに男がすると、


「黙れ男。私は"女子に"よろしくをしたの。てめぇら男によろしくなんてしてないから。調子に乗らないでくれる?
だいたい私の視界に入ろうなんて何様のつもり?半径10メートル近寄らないでくれる。ウザい。キモい。汚れる。」


ピキッと空気が凍った。


男をまるでゴミでも見るように蔑んでる転校生。もといすばるさんの妹。


「「………」」


最早、すばるさんの妹の出す殺気に喋れる奴は居なかった。

女で殺気出せるって……


隣の柚葉を見ると、何故か
あちゃー、やっちゃったよ。みたいな顔をしてた。


「男どけ。邪魔。
"私の"柚葉が見れないでしょ。」


なんか意味深発言したこいつ。

聞き捨てならねぇな。


「おいてめぇ。柚葉は俺のだ。
てめぇなんかのじゃねぇよ。」


柚葉が横でため息吐いてるけど、どうでもいい。


柚葉は俺のだ。

"私の"の部分わざと強調しやがって。


「あんたが天野玲央?」


「そうだけど?」


すばるさんの妹は、自己紹介した時のような穏やかさは1ミリもない。


俺を敵意むき出しで睨んでいる。


「私のかわいいかわいい柚葉を取りやがったのはあんただよね。」


「誰がてめぇのだクソ女。
だいたい取ってねぇし、ざけんな。」


えっと……と展開についていけてないギャラリー。

もちろん恭介達も。


でも、その中で一人冷静だったのは柚葉。