「でもさ、そんなに有名な子なら
玲央と付き合ってるって言ったらすぐに噂は広まるよね。」
「……あぁ。」
柚葉が俺と同じ高校に通うのは、メリットもあればデメリットもある。
メリットは、俺と柚葉の交わした"契約"が守れること。
デメリットは、今恭介が言ったこと。
柚葉も俺も理由は違くとも有名。
噂なんてすぐに広まる。
噂が広まれば柚葉は、俺たち流星を潰そうとしている族の餌食となり狙われる。
そうなれば、柚葉は必然的に流星の姫にならなくてはいけない。
「俺の予想が正しければさ、玲央が柚葉ちゃんを教室で抱きしめた時から噂は既に広まってる。」
「ちっ……」
マズイな
柚葉が狙われるわけにはいかない。
何としてでも守らないと……
「柚葉ちゃんって玲央の彼女なんでしょ?なら姫にしちゃおうよ!
倉庫に華が咲くよ!」
わっほーい!なんて言って騒ぎ出した薫。
「俺も柚葉ちゃんが姫になるの賛成」
薫の意見に同意する優。
「俺も柚葉ちゃんに謝らないとね。」
渋々ながら納得した恭介。
「………」
俺、柚葉に殺されるかもしれない。
あいつを倉庫に連れて行くなんて、
"契約" 違反も良いところだ。
そんなことしたら、柚葉は俺から離れていくかもしれない。
……いや。100%に近い確率で離れる。
それだけは嫌だ。
柚葉を離す訳には行かないんだ。


