恭介side


柚葉ちゃんの悩み相談をしていたら、下で大きな物音がした。


柚葉ちゃんに部屋を出ないように言って下に行けば


「頂点貰いに来ました〜闇魔でぇーす」


チャラチャラした奴らが、ざっと見て100人程。


電話を終えて、上から降りてきた玲央は今までにない位怒っている。


「おい。」


「ひっ……」


玲央の殺気に一瞬怯んだ向こうの総長はすぐに余裕を取り戻し、ニヤッと笑った。


嫌な予感がする。


その予感は、すぐに当たる。


「やだっ!離してよ!」


静かになった倉庫に、


「柚葉っ!」


柚葉ちゃんの抵抗する声が響く。


「「柚葉さんっ!」」

「柚ちゃん!」

「柚葉ちゃん!」


流星のメンバーは、もう戦闘体勢が整った。


流星(ここ)に一番大切な存在である彼女をーーー
柚葉ちゃんを人質に取ったのだから。


生きては帰れない。


「離してってば!」


ナイフを突きつけられ、向こうの総長の元へ歩かされる柚葉ちゃんからは

恐怖

が読み取れる。


一番避けて通りたかった道。


柚葉ちゃんを巻き込むのだけは嫌だった。

明日攻めに来ると言う情報は、どうやらデマだったらしい。


本当は今すぐにでも殴りかかりたい衝動を抑え、玲央の指示を待つ。


「お前らの姫さんもーらいっと。

いやぁー、美人だねぇ。俺好みだよ。
どう?俺の彼女にならない?」


アホ丸出しの会話を


「死ね。」


たった一言でぶった切った柚葉ちゃん。


この状況でそれを言える彼女は、肝が据わっているのかなんなのか……


「連れないねぇ。
天野 玲央より楽しませてあげるよ?」


隣にいる玲央は、見なくとも殺気が……


俺たちも立つのがやっとになる位、苛立っている。


大事な柚葉ちゃんを人質に取られているからか
口説かれているからか

多分両方だろう。


「行け。」


向こうの総長が口を開こうとしたのに被せて
地を這うような低い声で、戦いの開始を合図した玲央。


「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」




今立っているのは流星の面子殆ど。

闇魔の方は、総長しか立っていない。


闇魔を倒すまでの時間、僅か15分。


流星を本気にさせれば、瞬殺だ。