だって、誰かを好きになるなんて考えたことなかったから。


玲央と"契約"関係でずっと一緒に居ればいいと思っていたから。


まさか玲央を好きになるなんて……


でも、玲央は私を"そういう"目で見てないはず。


だから私の恋は叶わないんだ。


告白なんて仮にしたら、今の関係が崩れるかもしれない。


怖くてそんなこと出来ない。


「さっさと告りなよ。
見てるこっちがもどかしいから。」


「玲央もやっとかー」


「今からでも行きな」


応援してくれるのは有り難いけどさ


「無理だよ……」


「「「はっ?」」」


「だって怖いじゃん。
振られたらもう倉庫には来れないよ?」


「あぁ。それなら大丈夫だよ」


何処からそんな自信湧いてくるんですか恭介さん。


「だって玲央も、ねぇ?」


「ずーっと柚葉ちゃんの事を、ねぇ?」


ニヤニヤしている薫と優。


意味分かんない。


「玲央が帰ってきたら取り敢えず告りな。」


「え……はい。」


恭介の目が笑ってないから、取り敢えず答えといた。


「それとーー」


恭介が何かを言おうとした時


ガシャン


下から、倉庫のシャッターが破れる音がした。



一瞬で空気が変わる幹部室。


「柚葉ちゃん、ここで待っててね。
部屋から絶対に出ないように。」


「うん」


副総長の顔に変わった恭介は、薫と優を連れて幹部室を出る。


何となく、こないだ恭介が言っていた族が攻めてきたんだとわかる。


早く帰ってきてーーー


一人、幹部室でそう願った。