「やったぁー!柚ちゃんと夏休み遊べるー!」
「恭介!点数上がったぞ!」
ギリギリ留まった薫は夏休み遊べると、点数が上がったと喜ぶ優。
「満点……」
柚葉の点数に驚いている恭介は、その場に立ち尽くしている。
「相変わらずだな柚葉。」
「簡単だったし」
満点で当然と言った感じで答える柚葉は自信があったらしい。
まぁ、簡単だしな。
柚葉に勉強で勝てたことは一度もない。
中学から毎回テストで満点を取る柚葉は、高校でも変わらないらしい。
「結果も分かった事だしそろそろ行こうか。」
自分の世界に飛んでいた恭介は戻ってきて、空き教室に行くよう施す。
「そうだな。」
俺たちが居ることでギャラリーが増えてきた為、離れる事にした。
「柚葉行くぞ。」
いつものように柚葉の腰に腕を回すと
笑顔で返事が返ってくる筈なのに
「…………」
俺から顔を背けて、絶対に視線を合わせてくれない。
長い髪の毛で顔が隠れているから表情は読み取れない。
「柚葉、どうした?」
具合でも悪いのか?
「な、なんでもないよっ」
心配になって聞けば、焦ったように返す。
「そうか…」
柚葉がそう言うのなら、深く追求はしない。
空き教室に行っても、薫や優とばかり喋って俺と視線を合わせてくれない。
嫌われる様な事をした覚えはないし、怒られる様な事もしてない。
なのに、視線を合わせてくれない柚葉。
「チッ」
イライラする。