ギギィ


そんな音がして、ドアに目を向ければ
すばるさんとの話が終わって来た柚葉だった。


「あっ!柚ちゃん!」

「遅いぞ柚葉ちゃん。」


「あーごめんごめん。」


優と薫が言えば、先程とは違って無表情の柚葉。


「絶対悪いって思ってないでしょ」


「当たり前じゃない。
私じゃなくて、すばるが悪いんだから」


すばるさんを呼び捨てにする辺り、仲の良い関係らしい。


「すばるさんと知り合いなの?」


「お兄ちゃんの親友だから良く遊びに来るよ」


「何話してきたの?」


待ってましたと言わんばかりに、柚葉を一人占めする薫。


「説教されてた」


思い出したのか、ウザそうな顔をする柚葉。


「説教?」


「無理するから倒れるんだとか、体を大切にしろだとか、嫌な事されてないかとか、何かあったら俺に言えだとか

同じような事を永遠と聞かされてた。」


「…………」


普段のすばるさんからは、想像出来ない過保護っぷりだ。


それはそれはイメージが崩れるくらい。


「うん……お疲れ様。」


すばるさんが怖い薫は、何を想像したのか顔が青くなっている。


こいつの中ですばるさんは鬼のイメージしかないらしい。


「まぁ、それはいいや。
私、席外そうか?」


「えっ!?なんで?」


話が繋がってないから、驚く薫。


「だって、大切な話してたんでしょ?」


こいつは本当に周りを良く見ている。


柚葉が来ると同時に、重い雰囲気は無くした筈なのに。


「なんでわかるの?」


「雰囲気的に」


ほぉーーと感心する優。


「柚葉ちゃんに関する話だからここに居て?」


「……わかった」


恭介に施されて俺の隣に座った柚葉。


「私に関する話って?」


「最近、闇魔って言う卑怯な族が動き出したんだ。
目的は俺たちから全国の頂点を奪うため。
方法は、俺たちの弱点である柚葉ちゃんを餌にすること。」


「ふーん。」


恭介の説明に、興味無さそうな柚葉。


「ふーんって、大事な話なんだよ?」


薫が言うと


「だからつまり、私がそのバカ共に狙われてるから一人で行動するな。

そう言いたいんでしょ?」


はぁ、とため息を吐く柚葉。


説明する前に理解してしまう柚葉の頭の中を、一度覗いてみたい。


まぁ、話は短い方が面倒くさくなくていい。


「そういう事だ。絶対に俺たちと行動しろ。
家に帰ったら、外に一歩も出るな。
わかったな?」


「……分かりたくないけどわかった。」


狙われるよりはマシだと、渋々納得する柚葉。