そして、少し世間話をしながらジュースを飲んで、カフェを出て、電車に乗って、来た道を戻って。
桜井先輩の隣を歩いて、家まで送ってもらう。
家の近くにある、小さなガラス張りのお店の横を通る時、ガラスに私と桜井先輩の姿がうつった。
私と桜井先輩の距離は約30cm。
この時、ふと、クリスマスの時の桜井先輩と祐奈ちゃんの距離を思い出した。
腕を曲げてポケットに手を入れる桜井先輩の腕に、祐奈ちゃんが手をまわしている姿。
その距離はもちろん、0cm。
もし、私が祐奈ちゃんみたいに可愛くて、祐奈ちゃんみたいにおしゃれで、祐奈ちゃんみたいに明るい性格だったら、私も0cmまで近づけてるのかな。
私が選んだプレゼントは、桜井先輩が祐奈ちゃんに渡す。
桜井先輩が「誕生日、おめでとう」って優しく笑って、祐奈ちゃんは喜んで。
二人で笑いあう姿を想像すると、嫌で嫌で。