「メロンソーダとブラックコーヒーで」



桜井先輩が、私の分の注文もしてくれた。



その言葉を聞いた若い女の店員さんは、少し頬を赤らめながら、返事をして歩いて行った。



はあ、すごいな、本当。



知ってる人からはもちろんのこと、知らない人からも好かれるなんて。



“すごい人”ってことを知って、私には不釣り合いだということを思い知る。



「今日は、ありがとな。あと、祐奈の誕生日プレゼント買うのに付き合わせてごめん。つまらなかったろ?」



「いえいえ、そんな!楽しかったですよ?」



半分本当、半分嘘の答えを返した。



桜井先輩といられるってだけで楽しい。



でも、自分との住む世界の差を思い知って、いろんなことを考えてた時は楽しくなかった。



だから、半分本当で半分嘘。



「メロンソーダとブラックコーヒーです」



さっきの店員さんが持ってきた。