その場所は運動場の端の方から見える風景で、少し向こうにはサッカー部、陸上部、テニス部、野球部が分かれて練習をしていた。
そして、見つけてから数週間はその場所で下絵から着色まですることになった。
「で?なかなか桜井先輩出てこないけど?」
「この次なの!桜井先輩が出てくるのは!」
それは下絵が終わって、着色に入った時。
「あっ、やべっ」
その声が聞こえて、何かあったのかな、と着色している手を止めて、声がした方に顔を向けてみる。
すると、小さな黒い影がこちらに飛んできていた。
それに気づくのはあまりにも遅すぎて、顔に当たると確信した。
避けることはできず、目をぎゅっと閉じる。
ボンッという鈍い音がした。
なのに、痛みがないことに疑問を覚え、目を開けてみると、目の前にはボール...ではなく誰かの後ろ姿があった。
「あっぶねー。何してんだよ、亮太」

