桜井先輩はそう言うと、頭に乗せた手で私の髪の毛をぐしゃっとした。



それがなんだか恥ずかしくて、またうつむいた。



でもちゃんと、桜井先輩の言った言葉に返事をしないと。



そう思って、もう一度桜井先輩の方を向く。



でもなんて言えばいいかわかんなくて、戸惑っていると。



「ははは。なんでそんなに顔赤いんだよ?自信持てって言ったのに照れた?」



そうやって、意地悪そうに桜井先輩は言った。



違う、桜井先輩が頭に手をのせて笑ったり、髪をぐしゃってするから。



彼女じゃないのに、こんなことするから。



この想いを知らない桜井先輩に、気づいて欲しいっていう気持ちと、気づかないでっていう気持ちが行き交う。



でも、今の時間だけは気付かれても気付かれなくてもいいから、桜井先輩がすぐそばにいるっていうことの嬉しさだけを考えることにした。