学校に着いて、靴箱で上履きに履き替えていると、声が聞こえた。
「美音ちゃん、おはよー」
寒そうに私に挨拶をしたのは、同じ部活で同じクラスの有野葵(アリノアオイ)ちゃん、通称あおちゃん。
「あおちゃん、おはよ。寒いねー」
あおちゃんも「寒いね」と言って、ぶるぶる震える仕草をした。
美術室に行くと、もうほとんどの人が来ていた。
部活では、制作する場所は学年ごとに大体の場所は決まっているけど、個人の席は空いているところから。
私は空いていた窓側の席ですることにした。
それからしばらく、集中して着色をして、疲れたから一旦休むことにした。
すると、運動場から運動部の声が聞こえることに気がついた。
そういえば、学校に来た時からサッカー部や野球部やテニス部が部活をしていたな。
でも、それを忘れて、周りの声が聞こえなくなるくらいまで集中してたんだ。
そう思うと、自分の集中力の凄さに驚いた。