いないし。
待っても待っても。
後藤先輩いない!
しょうがない、メールとかでいいや。
180度方向転換。
その途端。
「うっ」
誰かとぶつかった。
3年生の階だから、3年生に決まってる。
「す、すみませ...え」
謝りながら、ぶつかった相手を見ると。
「お、片岡」
蓮先輩、だった。
後ろには、探していた後藤先輩。
「ご、後藤先輩!」
思わず、呼んでしまった。
「んー?」
あ、どーしよ。
後藤先輩を探していたのは、蓮先輩と話すためで。
でも今、蓮先輩は目の前にいる。
ってことは、後藤先輩を呼ぶ意味はなかったんじゃ...?
「あ、えっと...」
「ちょっとごめん」
私が後藤先輩に何て言おうか迷っていると、蓮先輩が手を掴んで私を引っ張って歩く。
後ろから「楽しんでー!」なんて言う後藤先輩の元気な声が聞こえる。