どうしよう、こんな事になるなんて思ってなかったから。



体が固まって動けない代わりに、心臓だけがバクバクいってる。



数十秒、っていう短い時間だったと思う。



でも私にとってはもっと長い時間に思えた。



心臓がもたないと思ったから早く離れないとって思ったけど、蓮先輩の方から離れられると、なんか...。



「ふっ、そんな顔で見んなよー」



だって、なんかさみしかったから。



少し恥ずかしくなって、下を向く。



それでも心臓はまだバクバク言ってる。



「美音」



「...え?」



ふいに名前を呼ばれたことに驚いて蓮先輩の顔を見ると...。



蓮先輩の整った顔が近づいてきて...。



唇と唇が重なった_____。



蓮先輩にとっては何回目かのキスかもしれないけど、わたしにとってはちゃんとしたキスはこれが初めてで。



ファーストキスはいちごの味何て言うけど、味なんて考えられないくらい緊張した。