蓮先輩の好きな人ってあの女の子だったんだ、ってなぜか他人事みたいに思える。
いや、他人事なのか、蓮先輩にとっては。
渡り廊下に見える二人の姿がお似合いすぎて、もう悲しいって言うよりは、なんだか...。
言葉に言い表せないような気持ち。
でもそれが良いか悪いかって言ったら、即答で悪い、だ。
はじめは何か楽しそうに笑いあってるだけだったのに、いつの間にか女の子が蓮先輩の制服のシャツを掴んで引っ張って揺すってたり。
そんなの見て、“良い”わけない。
そろそろ部活に行かないと、と歩き出そうと思っていると。
女の子が少し頬を赤らめて、周りをキョロキョロしかと思うと...。
蓮先輩の耳に顔を寄せて、何かを言った。
見たくなかったけど見てしまった光景に、いつのまにか走り出していた。
もう、何も考えられない。
頭の中が無のまま急いで美術室に向かった。