初恋は叶わない。




「おっはよー!」



クラスメイトの田中俊斗(タナカシュント)が私の横で自転車を止めた。



毎朝、だいたいこの時間に俊ちゃんが自転車でここを通るから、一緒に行っている。



「おはよー」



あの謎の満員電車で疲れた私は、あまり元気のない挨拶をした。



「あれ?美音、元気なくね?」



それに俊ちゃんも気づいたみたい。



俊ちゃんとは、クラスメイトでもあり小学校・中学校も同じクラスという幼馴染みでもある。



高校はさすがに違うだろうと思ってたけど、驚くことに同じ高校で、しかもまた同じクラスで。



いろいろと縁のある友達なのである。



そんなに長く一緒にいるから、少しのお互いの違いにもすぐに気づいて、心配し合うのが当たり前になっていた。



「今日さ、電車がびっくりするくらい混んでてさ」



あの驚きの体験を俊ちゃんに話した。



「あー、なんか先輩が言ってたな。今日、隣の町で何かの大会があって、毎年電車が混むとか」