俊ちゃんは、私たちの機嫌が良くなってホッとしたのか、柔らかい表情を浮かべている。
「そういえば、俊ちゃんって何班だったの?」
「あ、俺?美音と同じだけど」
「へぇ、そうなんだ。って!一緒なの?」
「おう」
同じ班ってことと、何も気にすることなく平然と言う俊ちゃんに驚く。
「じゃあ、班ごとの自由見学の時は地図よろしくね!」
「お前の方が頭いいじゃん、読めよー」
え、私そういうのはちょっと...。
「無理無理!美音は地図だけは無理なの。極度の方向音痴だし、ね?」
「う"...。そんな、はっきり言わなくてもいいじゃん。極度ってわけじゃないし...」
「え、そうなのか?俺、今までなんで気づかなかったんだろ」
「だって、今までずっと隠してたから...」
高校に登校するのには、何回か練習したし、それ以外で遠くに一人で行くことなんてなかったから。