初恋は叶わない。




桜井先輩がいなかったから、なんて言ったら告白してるようなものだもんね。



「ごめんって。そんなほっぺた膨らませるなよー」



そう言うと、桜井先輩の手が私の顔の前に伸びてきて...。



ぶにゅ。



私のほっぺたをつかんだ。



「...へっ?!」



急な出来事に、一気につかまれたほっぺから熱くなってくる。



「よし、これでほっぺた戻った!」



そう言って手を離した桜井先輩だったけど、形は戻ってもきっと色は赤くなっちゃってる。



「でも、桜井先輩来てくれて良かったよねー」



はっ、明日香まだいたんだった。



それに気づいたせいで、もっと顔が熱くなる。



「もし美音一人だけだったら、相手に得点取られちゃってて、今頃みんなに責められてただろうなぁー」



「え?!」



その明日香の一言で、一気に顔の熱がどこかへ消えた。



せ、責められてた...?



明日香の目を見てみると、けっこう本気みたいで、冷や汗が出てくる。