それからいろんな競技が終わっていって、この学校一番の競技、組対抗競技、棒引きが始まろうとしている。
桜井先輩は生徒会で忙しくて、さっきのかっこいい姿を見てからはその姿をとらえることはできていない。
だから絶対に見れるこの競技をまだかまだかと待ちわびていた。
『3・4組の生徒は並んでください』
放送があって、ウキウキで軽くスキップしながら向かう。
第1回目、2回目...と各一列ずつに並ぶんだけど...。
桜井先輩、桜井先輩。
違う列に並ぶはずの桜井先輩を探す。
だけど...。
なんでだろ、探したのにいない。
「ほら、美音。前進んでるよ?」
いないのに、もう入場を始めてしまってる。
「うん...」
何かあったのかな、と少し心配になる。
第1回目の桜井先輩なのに、いないまま始まって...終わった。
競技は4組に大差をつけて勝ったけど、今の私はそれどころじゃない。

