初恋は叶わない。




「んぬ?!」



びっくりして、踏み出した足が変にバウンドしてバランスを崩す。



「うわっ、あっぶねー」



その声の主は、私の体を支えてくれる。



「桜井、先輩」



「あはは、急に声かけてごめんな?」



桜井先輩と出会った時も、『あっぶねー』って言って、ボールから助けてくれたな。



そんなふうに懐かしみながら、桜井先輩の方を見てみる。



「どうしてここに?」



2年生の教室の前にいるのは、何か用があったからだよね?



「ああ、そうそう。体育祭のことなんだけど、2年の団体競技の紙もらいに来た」



「あ、それじゃあ、委員長呼んできますね」



荷物を持ったままだったし、私が聞くよりは委員長のほうがよく知ってると思って、教室に入る。



「あ、委員長、桜井先輩が呼んでる」



「ああ、ありがとう、片岡」



「え、桜井先輩?」



私が委員長に言ったら、明日香が話に入ってきた。