「ごめん、ごめん、ごめん」
どれだけ謝っても足りないくらい、傷つけていたと思う。
私が桜井先輩を好きになってから傷ついたよりも、何倍も。
謝る私に対して俊ちゃんは口を開く。
「あのな、美音が桜井先輩を諦められないのと同じで、俺も美音のこと諦めるのは難しいと思う。だから、時間はかかると思うけど、次に行けるように頑張るから。だから、美音も桜井先輩でも他でもいいから、がんばれ」
ああ、なんでこんなにも俊ちゃんは優しいんだろう。
「うん...」
涙が止まらないけど、ちゃんと伝えないと。
「俊、ちゃん」
「うん?」
「あり、がとぉ、ね」
“ありがとう”
私が今一番伝えたい言葉。
言い方変になっちゃったけど、ちゃんと届いてくれたかな。
「うん」
そう言って笑ってくれた俊ちゃんを見ると、届いたような気がした。

