「今まで好きな人ができたことがなかった美音に、少し安心してた。だから、美音が桜井先輩のこと好きになったって言った時、やられたって思った。」
そんな、嘘だよね？
だって、だって、だって私が苦しんでるときだって隣で励ましてくれた。
「でも桜井先輩に彼女がいるから、美音はすぐ諦めるだろうって思ってた。でも、そんな簡単じゃなかったな」
「本当に、俊ちゃん、なの？」
「...うん。俺はずっとずっと美音が好きだった」
私が、桜井先輩のことを話すたびに、俊ちゃんを傷つけていたのかな。
自分のことしか考えていなかった私は、無意識のうちに俊ちゃんを苦しませていたのかな。
「ふ、ふぇ、ぅぅぅ」
ごめん、ごめんね。
自分ばっかりな私で、ごめんね。
泣き出した私を見て、俊ちゃんは「ごめん」と言って抱きしめてくれた。
「これで、最後にするから。抱きしめさせてくれ」
