え、っていうか、『もう、いい!』って言ったってことは...。
タッタッタッタ。
こっちに来る?!
どうしよう、こんなところにいたら、盗み聞きしてたって思われる。
っていうか、実際盗み聞きになると思うけど。
えっと、あっと...!
どこか別の場所に行く時間なんてなくて、しょうがなく目の前にある電柱で体を隠そうとしてみる。
こんなの、隠れてるってことにはならないんだろうけど、精一杯の努力。
絶対にバレるだろう、って思ってたけど、泣いていた上に猛スピードで走っていった祐奈ちゃんは私に気づかなかった。
ホッと安心して、曲がり角を曲がる。
「「あ」」
...忘れてた。
今祐奈ちゃんが走っていったばっかりなんだから、桜井先輩がいるに決まってる。
「もしかして、今の聞かれちゃった?」
苦笑しながら言う桜井先輩に、苦笑でうなずくしかない。