そのとき。
「......ぅ...ぇん、ぐすっ」
雨の音とは別に、かすかに鳴き声が聞こえた気がした。
「美音ちゃん?」
どこから聞こえたのかわからなかったけど、もしかしたら、と思って周りを見渡す。
周りは公園だった。
滑り台、ジャングルジム、ブランコ、たくさんの遊具があるけど、雨宿りできそうなところは...。
あった、土管。
ここの公園、土管とかあったんだ、なんて感心しながらも、夢中で土管に向かって走る。
「美音ちゃん、美音ちゃんッ!」
中には、泣いている美音ちゃんがいた。
「...くん。怖かったよぉ」
よっぽど心細かったんだろうな。
名前を呼んで、美音は抱きついてきたらしい。
そのとき、思ったらしい。
俺が美音ちゃんを夢中で探したのは、好きだからだ、って。
そしたら、いつも美音ちゃんがいるだけ楽しいってことが納得できる、って。