好きな人が他の女の子とキスしてるっていうのは...。
手をつなぐとか頭を撫でるとかは、ヤキモチはやくけど、涙が出るまではならなかった。
それはきっと、キスっていうのは、彼女しかできない特別なものだからだ。
そこで、彼女って存在とただの後輩っていう存在の差が辛くなったんだ。
そうだ、恋愛で泣いたのは、あれが初めてだったんだ。
ふと、そんなことを思って見上げた空は、雲で覆われた暗い空で。
まるで、今の私の心の中を表しているみたいだった。
「...ん?」
朝、いつも通り、家を出て学校に向かおうとした。
でも、そこにはいるはずのない人が...。
ヒュー、ガチャン。
180度向きを変えて、家に戻ろうとしてみる。
そうだ、これは夢だ。
「え、なんで引き返すの?」
少し焦ったような、笑ったような声で話しかけてきたのは...。

