すると、俊ちゃんはニコッと笑って。
「おう。俺に任せとけ」
「うん。ありがと」
え、あれ、任せとけ...?
「任せとけって、何を...」
「ほら、もうちょっとでチャイムなるぞ。走るぞ」
見事に俊ちゃんに遮られて、それからは何か言う隙も与えてくれなくて、疑問はそのままになった。
それから授業、部活が終わって、片付けに手間取って鍵をかけないといけなくなって、遅くなってしまった。
自分の描いている水彩画を見てみる。
そういえば、桜井先輩との出会いも、この時期だったな。
あれからもう1年も経ってるんだ、と時間の流れの速さに少し驚きながら、戸締りの確認をして鍵をかける。
鍵を返して、靴箱に向かうと、サッカー部の練習着を着た男の子が2人。
少し近づいてみると、それが誰だかわかった。
桜井先輩と俊ちゃんだ。
「じゃあ、帰るか!」