その言葉を聞いて俺は、嬉しいと思ってしまう。
美音にとっては悲しい事実なのに、喜んでしまう。
自分に有利になったと喜ぶ自分と、そんな自分が嫌だと思う自分が出てくる。
でも、やっぱり...。
「蓮先輩が美音のこと、好きでも好きじゃなくても、美音を泣かすようなことがあったら、いくら尊敬する蓮先輩でも、許しませんから」
すると、蓮先輩は「ふっ」と笑った。
「え?」
予想外のその反応に、俺の方がとまどってしまう。
「俊斗ってさ、片岡のこと好きなんだろ?」
「はあ?ま、まあ、好きですけど...」
「ふーん」
え、何?
自分から聞いてきて、「ふーん」って...。
「じゃあ、帰るか!」
「...は、はい?」
そのまま、なんであんなこと聞いてきたかは教えてくれないまま、わかれて、家に帰った。