「それで、一目惚れしたってわけ?」
「違う違う!好きになるのはもうちょっと先!」
私がそう言うと、明日香はため息をつく。
「話長いよー。早く好きになりなさいよ」
「そんなこと言われても...」
それから絵を描き終わるまでその場所に行ってたんだけど。
「片岡さーん」
誰かに名前を呼ばれて、顔を上げると、そこには先輩がいた。
「あ、先輩」
私がそう言うと、先輩は「うーん」と考えるような仕草をして。
「先輩だけじゃなんかいやだな。名前つけて呼んでよ」
頭の中にハテナが埋まる。
「桜井...先輩?」
「んー、ま、いっか。じゃ、それでよろしく」
そういえば、今部活中だけど、こんなところにいていいのかな、と思って先輩に尋ねてみると。
「あー、大丈夫大丈夫。今休憩時間みたいなもんだし」
そうなんだ、と納得していると、「サッカー部集合」という先生の声がした。

