事を終えた翌日、真離はいつものように自宅の寝室で眠りについている。

カーテンの隙間からは日差しが少しだけ入ってきている。
いつものように、真離の生活は何も変わらない。変わったといえば、いつもと同じように仕事を終えたのに、いつもより多額の現金が確かに手元にあるということだった。

いつものように真離に電話がかかってくる。
真離はその電話が城之内だということはわかっていた。

5回コールがなった後、留守番電話のボタンを押した。

「只今留守にしております。ご用のある方はピーっとゆう発信音の後にご用件をどうぞ。ピー。」

発信音の後からは城之内の声が聞こえた。

城之内「眠ってるのか?お前の事だ。どうせ今留守番電話にして俺の声が聞こえているんだろ?かけ直してこいよ。」

そう言って真離を挑発した。

真離は無言で受話器を取る。

城之内が電話の向こうで喋り始める。
城之内「ははっ…やっぱりな。」

真離「何なの?わざとらしいわね。」

城之内「お前の事だ。こうすれば絶対に乗ってくると思ったからだよ。どうだ、昨日の仕事は?」

真離「どうしたもこうしたもないわ。いつものようにすぐに終わらせただけよ。」

城之内「俺が聞きたいのはその台詞じゃない。わかってるんだろ?どんな心境なんだ?最愛の人の大事な物を奪った感想は。」

真離は少し間をおいて、

「別に。」

そういつものように冷静に答えた。