屯所への帰り道は足取りが軽かった。

龍馬さんに会えたからなのかは分からない。でも、体も心も軽い。

こんな軽い気持ちになったのは久しぶりです。

「あ……」

散らすように振る雪の間々から屯所の影が見えます。

龍馬さんの懐中時計を懐の奥へと入れると、屯所の門を静かに潜りました。

さっきまで龍馬さんに会っていたという事実が後ろめたいのか、屯所の中をコソコソと移動してしまいます。

長い縁側を歩く。

歩くとギシ……ギシ……と床が軋む音がします。

「……?」

歩く途中、奇妙ないやな予感がしました。

一回だけ、後ろから私とは別の足音がしたのです。

誰……?

「きゃっ……!」

後ろを振る変える間もなく、誰に着物を掴まれ、縁側の外に投げ飛ばされた。

ドンッ!と身体が硬い地面に落ち、全身に意識が飛びそうになるほどの衝撃が走った。

「な、何……?」

痛みと衝撃で震える体を起き上がらせようとすると、起き上がる前に上からバシャと大量の水を掛けられた。