『大丈夫だよ。鼻をちょっとすりむいただけだから』 「うっ……う……。痛い……」 『ひとまず稽古はやめて絆創膏を貼ろうか。僕が貼ってあげるね』 「うん……。ありがとう、師匠」 師匠……? 『行こう』 「はい」 小さい私は差し出された手をギュッと握る。 普通の人よりも冷たいけど安心する手……。 私は、この人を知っている。 でも、わからない……。 この人は誰なんだろう……?