私が教室に入ったのはチャイムが鳴りはじめて、 席に座ったのは先生が教室に入って来た時だった。 いつもならすぐに席に着いたら横を向いて笑顔でこう応える。 『コタくん、おはようっ』と…。 するとコタくんも私の顔を見て笑顔で『おはよう』と、応えてくれる。 「………」 しかし、今日は静かに席に着くと、真っ直ぐ前を向いた。 「………」 そして、横に座っている彼も決して挨拶することなく、私と同様に決して私を見ることはなかった。