「そんなこと言われたら信じるしかないでしょ…?」
鞄の中から取り出した中学の卒業アルバム。
そしてその卒業アルバムの一番後ろの寄せ書きページ。
ページにはもう今ではどこで何をしているかも分からない同級生の女の子たちが丸みを帯びた字で書いてくれている中、1人だけ丁寧な時で書かれたメッセージ。
当時、家に帰ると急いでページを開いてメッセージを読んだ。
その時は何当たり前なこと書いたのかな?と不思議でたまらなかった。
当たり前だけど、当たり前にはならなかったコタくんのメッセージ。
コタくんがこの世から消えた日、コタくんとの思い出の品は失くしてしまった。
そんな失くした物の唯一残ったのが卒業アルバム。
「残してて良かったわ…」
3行のメッセージと右下に書かれた小田健二の名をそっと撫でた。


