嘘つきなあなたからの恋文。



小池さん、最初で最期のケンカ覚えてる?


僕は未だに何で小池さんが怒ったのか不思議でたまらないよ。

一緒に買い物に出かけて先に帰って行った小池さんに僕が怒る所を君が怒るんだから。

そんな君に僕も腹が立って、お互い話さなくなって……とうとうあの時2週間話さなかったね…すごい後悔したよ。

だって2週間もの時間を小さな意地で無駄にしてしまったんだから。


僕にとっての2週間はとても大切な時間なのにね…今考えても本当勿体ないよ。

何もできなかったあの春休みの時間はちっともそんなこと思わなかったのにね。


もし…あの2週間があったらもっと小池さんとの思い出が増えたのにね。


……でもあれも喧嘩をしたという1つの思い出になったかな。

仲直りした瞬間、小池さんが見せた涙がとても綺麗で見惚れたな…なんてまたこんなこと書いてたら大人だとか言われるか。


美術で小池さんが描いてくれた僕の似顔絵は今も大切な宝物だよ。

小池さんは僕が描いた似顔絵まだ持ってる?


そういえば、2人で出掛けた次の日にケンカしたからあの日のことを話すことはなかったね。

あの日初めて小池さんと買い物をした日、従姉妹の誕生日プレゼント選びに付き合って欲しいって頼んだよね。覚えてる?

あれね、実は嘘なんだ。


僕のイトコは全員男しかいないんだ。

つまりイトコはイトコでも女の子の従姉妹は僕にはいないんだ。

なんでそんな嘘をついたかと言うと、どうしても小池さんと出掛けて見たかったんだ。

学校外でも思い出を作りたかったんだ。

だからあの日君と一緒に選んだ可愛らしい写真立て…あれは誰にも渡す事なく僕の部屋に飾ってあるよ。

その写真立てに飾ってる写真はね、中学校の3年の教室の1番後ろの席、小池さんと一緒にいたあの席を撮った写真なんだ。


小池さん、僕はね