気付けば部屋はちり紙で錯乱していた。
「全部破っちゃった……」
コタくんがくれた似顔絵から始まり、
授業中に交わした手紙も写真も今じゃ床に散りばめられたちり紙となった。
「思い出なんて……」
持っててもその一緒に作った相手がいないのだ。
霞んでしまって仕方ない。
「……ハハッ」
掠れた声を出してゆっくりと崩れ落ちる様にその場に腰を落とすと目の前にあったちり紙を一つ掴んだ。
ちょうどそれは左胸に描かれていた言葉の【笑って】の部分。
その文字が視界に入った瞬間、ふわっとコタくんの笑顔が思い浮かんだ。
『笑って』
「そんなの…無理だよ」
ポロポロと大粒の涙が目から溢れながら悲鳴の様な大声を上げた。
声が枯れても大声を上げ、目を擦るせいで瞼が腫れて目の周りがヒリヒリ痛くなっても大粒の涙を流した。
「コタくん………」
居なくなると知ってたなら思い出なんて残さないでよ。
残った私は居なくなった貴方が恋しくて恋しくて堪らないんだよ。


