「もしもし、小池です」
『……』
「?もしもし?」
『……』
…応答しない。
いたずら電話?
「…切りますよ」
そう言った瞬間だった、電話越しに小さな息遣いが聞こえた。
何?
「あの…」
決して興奮した荒い息遣いではない。
これは……泣いてる?
「どちら様ですか?どうかされました?」
普通に電話に出たら相手が分からない上泣いている。
この状態何なの?
少し焦りながらも先ずは相手が誰なのか、その相手の状態を知りたい。
耳に神経を研ぎ澄ませながら、相手を伺う。
すると、小さな声だがはっきりと相手の言葉が聞こえた。
『こ…い…け』
その声には聞き覚えがあった。
「…綾部くん?」
『ん……』
電話の相手は中学の同級生の綾部くんだった。
その事が分かると、一先ず安心した。
知ってる人で良かった…。
「卒業ぶりだね……それで綾部くんどうしたの?」
相手が分かると、今度はなんで泣いているのかが気になる。
『小池…』
「うん、何?」
『小池に…話さないといけないことがあるんだ』
「うん…」
綾部くんが話したいこと…それは今泣いている原因であることは私にでも分かった。
綾部くんが泣く程のことって何なんだろう。
それを何故私に話さないといけないことなんだろう。
疑問を持ちながら、綾部くんが話し出すタイミングを緊張しながら待った。
『実は…ずっと黙ってた…隠してたことがあるんだ』
「隠し事?」
綾部くんが?私に?
頭に?が飛び交っていると嘘のような事実が綾部くんの口から発せられた。


