先輩と、わたし。






驚いてるわたしを横目にお兄ちゃんが言った。




「何だ、気づいてなかったのか?美樹はずっとお前をスケッチしてたんだぞ?」





「へ、そうなの?」




美樹はコクンとうなずいた。




全然知らなかったよ!






「悠哉、こいつは俺らの弟の美樹だ!絵がうまくてしょっちゅう入賞してやがる。生まれたときから女の子みたいだから美樹ってつけられたんだ!」





「へえ。」






美樹のスケッチブックに描かれてるわたしは、変な顔ばっかり。




美樹はほんとにうまいから、それが逆にわたしをリアルに表現しすぎてるよ。






「姉ちゃんの彼氏さん、これ、ほしい?」





ずっと黙ってた美樹が口を開いた。





「うたた寝してるときのもあるよ。今なら安くする。」






え、それで商売しちゃうの?




わたしがあきれてると、先輩は笑って言った。






「ん、いくら?」




だめだ、先輩ものせられてる…。




わたしはとりあえずこの場から先輩と逃げることにした。






「…もう先輩っ!のらないで良いですからねっ!やっぱりわたしの家はやめて先輩の家に行きましょ?」





先輩の手を引いて部屋から出る。





後ろから「お幸せに~!」ってお兄ちゃんののんきな声が聞こえた。





さっと準備を終わらせて、先輩と外に出る。






「はあ、やっと逃げられた…。」





わたしがつぶやくと、先輩はわたしの頭をなでた。





「何か、どうやって花乃みたいなやつが育ったか分かった気がする。」






「どういう意味ですか…?」





「花乃んちの家族、良いなって意味。」






そうかな?




首を傾げるわたしを見て先輩はまた笑うと、わたしの手を握って歩き始めた。






「俺んち来るんだろ?…ま、俺んち来ても、2人きりになれるか分かんねーけど。」






「えっ?」