「ちょっとノックくらいしてよねっ。」
びっくりして声がうわずる。
お兄ちゃんは全然悪びれた様子はないけど。
「だって高校生になってやっと、人生初の花乃の彼氏、見たいじゃん!」
何よ、お兄ちゃんは中学から彼女が出来たからって。
わたしがふくれてたら、お兄ちゃんは勝手に先輩と話し始めた。
「どうも、俺、花乃の兄貴の茉広っす!悠哉は確か高2だよな?俺は大学2年生だから、茉広さんでよろしく!」
初対面で呼び捨てなんて、先輩も戸惑っちゃうよ。
そう思ってみてみたら、先輩は何だか楽しそうだった。
「ども、茉広さん。」
「いやー、花乃とつき合ってくれて良かったよ!俺の友達にも花乃に惚れるやつ、結構いたんだけどさ!色々紹介しても花乃のやつ、全然その気になんねーの!」
ああ、もうそんな変な話はやめてよ…。
わたしの思いは伝わらず、お兄ちゃんはどんどん続けた。
「もう花乃は一生彼氏出来ねーんじゃないかって思ってたとき、花乃が悠哉の話ばっか家でするようになってな!ようやく花乃にも春が来たと思ったよ!」
そんなこと言ったらあとで先輩にからかわれちゃう。
家で先輩の話ばっかしてたのはほんとだけどね…?
お兄ちゃんが話し終わったかと思ったら、今度は美樹が脇に挟んでたスケッチブックを先輩に差し出した。
先輩が開くと、そこに描かれてたのは…、
全部わたし!?
