「こんにちはぁ恭真クン」
「どうされたんですか?」
「ちーちゃんの彼氏なんでしょ?
もっと色々詳しく知りたいなぁって」
「あなたに教えることは何もありませんよ」
俺がブラックキャット17代目ボスってことは、ほんの数人しか知らない。
他人に教えるなんて、あってはいけないことだ。
「…そうなんだぁ」
ファミレスで見かけた、あの無表情。
…何だろう?
何故こんなに、彼女の無表情は怖いのだろう。
俺は殺し屋だから、怖いとは思わないけど。
きっと一般人が見たら怖いと思うだろう。
「あのね、あたし…恭真クンのこと気に入ったの。
だから、ちーちゃんから無理矢理でも奪わせてもらうね」
「…それは無理だと思いますけど?」
「アハハッ!
あたしに落ちない男はいないの。
必ず、恭真クンをオトしてあげるわね?」
関島早苗がそこまで言った所で、後ろに車のライトが向かってくる気配がしたので振り向く。
予想通り、俺を迎えにきた車がいた。
「どうされましたかぼっちゃま」
「ん?何でもないよ」
さっさと乗り込み、俺は奇妙に微笑む関島早苗を置き、家まで帰った。
生憎俺は皆が思うほど優しくないからね。
関島早苗が知紗なら、家まで送るよと乗せたけど。
知紗以外の女を送るつもりはない。
「小松恭真クン…気に入ったわ。
あの爽やかな笑顔…掴みどころのない顔…。
素晴らしい…あたしの理想にピッタリだわ。
ちーちゃん…あなたは可哀想ね……。
このあたしを敵にまわしたんだから…。
家も家族も友達も何もないちーちゃんになんて、負けないんだから。
必ず…
恭真クンを、
あたしのモノにシテミセルワ………」