月宮兄弟は澪鵺と戦うのに夢中で、僕が紅羽に近づくのに気が付いていない。
まぁ、好都合だけどね。
僕は泣いている紅羽の頭の上に、ポンッと手を乗せた。
涙目の紅羽は、僕を見て声を上げた。
「あ……ッ」
「僕のこと、忘れてない?」
酷いなぁ。
僕はハッキング能力だけで殺し屋組織ブラックキャットの幹部になった人だよ?
僕以上のハッカーがいるはずないでしょ?
その時。
僕のポケットの中に入っていたスマホが震えた。
…陽詩だ。
「もしもし?」
『氷くん?見つけたわ!!』
「今から行く。場所はどこ?」
『校長室の隣にある事務室の奥の部屋よ。
今誰もいないから、早く来て!』
「わかった、今から行く!」
僕は紅羽に澪鵺を託し、校内へ走った。


