「「………」」
残された僕らは、まだ残っている焼きそばを食べ始めた。
「…あれで良いの?氷くん」
「…まぁ、外には出ていないと思うから。
いずれ見つかるだろうし、大丈夫だよ」
「ハッキング、しないの?」
ハッキングは法律違反だから。
陽詩は声を小さくして聞いてくる。
「この学校、セキュリティが厳しいからね。
下手にハッキングしたら、バレるかもしれない」
「氷くんでも、ハッキング出来ないの?」
「出来ないわけじゃないと思うけど。
やるのは厳しいと思うよ?」
「そうなんだ―…。
じゃあ、犯罪者が入ってこなくて安心だね!」
「そうだね」
僕が返事したところで、僕のスマホが鳴った。
そういえば、マナーモードにするのを忘れていたな。
劇の最中鳴らなくて良かった。
陽詩に「ちょっとごめん」と謝り、通話を始める。
相手は、死体屋の1人だった。
「どうしたの?」
『実はホワイトキャットから妙なファックスが届きまして』
ホワイトキャットは自称ブラックキャットのライバル。
名前だけは知っているけど、名は高くない。
『ぼっちゃまの通う高校に、殺し屋をよこすと書いてあります。
殺し屋のコードネームはバルシーです』
ぼっちゃま…恭真くんのことだ。
恭真くんの通う高校ってことは、この高校だよね?
しかも殺し屋バルシーをよこすのか?
快楽殺人者に近い殺し方をする殺し屋で、ブラックキャットでもマークしている殺し屋だ。
犯罪者は入らないと言えるほど安全なセキュリティだと思うけど。
…破れないわけではない。
ホワイトキャットにもハッカーの1人や2人はいるだろうから。
もしかしたら、破れるハッカーがいるかもしれない。
「陽詩!
明日、必ずスマホを持ってきて?」
「良いけど…何で?」
「明日の文化祭が…危険だから。
何かあったら、スマホで連絡を取り合えるだろ?」
「わかったわ。
…でも、危険ってどういう意味?」
「もしかしたら明日、この高校に殺し屋が来るかもしれない。
正確にはわからないけど、一応念のために」