「…成功、した……ッ」




俺はその場に倒れた。

肩や手首、手から血があふれている。





早く、誰にも見つからないうちに帰らないと。

いくら人通りの少ない場所だからと言って、警察などの人が通らないと言うのはない。

このままこの場にいれば、誰かに見つかる。

早く…逃げないと……いけないのに………。




アイツの血飛沫を浴び、自分からも出血している俺は。

立っていることもままならなくなり、その場に倒れこんだ。

冷たいアスファルトに、俺の血が染み込んでいく。

立ち上がろうと、帰ろうと、足に力を込めたけど。

意味がない。

そればかりではなく、視界も霞んできた。



あ…死ぬのかな、俺。

前にも似たようなことあったけど。

その時は、運良く恭真に見つかって助かったけど。

てかその時俺の手首を深く切ったのは、恭真だけど。





紅羽。

俺は紅羽のこと、守れた?





俺はずっと、祈っているから。

紅羽がいつまでも、笑っていられるよう。

幸せでいられるよう。




祈って…いるから……。