「…直接話そう、神崎クン」
そう言った校長は、回転椅子から立ちあがり、俺を見た。
初めて見た、校長だった。
「え…」
これしか言えなかったのも、無理はないと思う。
だって俺の目の前で笑う“校長”は、いつもの“校長”じゃない。
いつも俺ら生徒の前に現れる校長は、正直に言うけど、かなり髪の毛の数が少ない、いかにも校長と言う感じのオジサンだ。
なのに、今目の前にいる人物は、髪の毛が多い。
その上、髪色が、赤だ。
薄い赤色のふさふさの髪に、赤い縁の眼鏡。
…誰だ?
いや、校長だとはわかっているんだけど。
校長だと思えない風貌だ。
「初めまして神崎クン。
ボクは赤崎明楽(あきら)。
この高校の校長をしています」
「か、神崎澪鵺です」
つられて立ちあがり、挨拶をする。
「ボクの存在は、本当は明かしてはいけないのです。
ですから普段、校長は理事長が代役をしてくれます。
君たちが普段見る“校長”は、理事長なのです」
理事長が…校長の、代役。
それで目の前にいる赤崎明楽さんが、校長……。
そんなこと、アリなのか?


