私は木の棒と一緒に置かれていたロープを持ってきた。
その間に、澪鵺が月宮兄弟を並べさせてくれていた。
私はロープで、2人を縛った。
「…確かにさ、この世の中を壊したい気持ちは、わからないでもない」
「「………」」
「だからと言って実行に移そうと思うのは、間違っているよ」
「「………」」
「世界を壊せる日なんて、一生来ないから」
「「………」」
「壊した気分になるのは簡単だよ。
こうやって、誰かを傷つければ良いんだから」
「「………」」
「でも絶対、後から後悔すると思う。
何であんなことしたんだろうって。
私も何度、過去の自分を恨んだか、わからない」
「「………」」
「でも今は恨んでいないよ。
過去の自分を恨んでもしょうがない。
今の私に必要なのは、今の私なんだから」
「「………」」
「私には大事な思い出があって、大事な親友がいて、大事な仲間がいて、大事な人もいる。
月宮くんたちにとって、お互いが大事な存在なんじゃないかな」
月宮くんたちは揃って顔を見合わせた。
「辛い時、いつも思い浮かべる人は大事な人だよ。
そして同時に、大事な人には笑顔でいてほしいって思うんだ」
「「………」」
「その笑顔を守るためには、人はどんなことも乗り越えられる。
大事な人を守るため、病を乗り越えた人もいる。
自分を忘れられても、一途に大事な人を愛した人もいる。
私には、自分を犠牲にしてまで、守りたいと思う相手がいる。
例え自分の人生が転落したとしても、私はその人のためにまた這いあがってくる。
その人の隣で、私はずっと笑顔でいたいから。
その人の幸せを、私はずっと祈って、傍で見ていたいから」
澪鵺を見ると、満面の笑みを浮かべてくれていた。
私の左手の薬指には、赤いハートが輝く指輪が、煌めいていた。


