いつもは鳥が巣を作りそうなほどモワモワしている黒髪も、今日はきっちりセットされている。
ヨレヨレの服装も、きっちりしていて、かっこいい。
「氷さん…!」
「僕のこと、忘れていたでしょ」
「ごめんなさいっ…」
「セキュリティ解除してくるから」
スッとズボンのポケットからスマホを取り出した氷さんは、耳に当てた。
一言二言会話したあと、私を見た。
「陽詩(ひなた)にも感謝してね」
「陽詩さん…?」
和泉(いずみ)陽詩さんは、氷さんの彼女。
氷さんをハッカーへ育て上げた恩人の妹さんでもある。
「学校のセキュリティを司る場所を探してくれたんだ。
僕も今からそこに向かって、セキュリティ解除をする」
「氷さん…!
陽詩さんまで…!
本当に、ありがとうございますッ!!」
「お礼は後で。じゃ。
…澪鵺がもし危険だったら、紅羽も出来る限り加勢して」
「わかりました!」
氷さんはタッと校内へ走って行く。
そうだよ。
私も澪鵺も、1人じゃない。
大切な仲間が、いっぱいいる。
私は澪鵺の持つ木の棒を手に取った。


