「君も玉置さんも、困っちゃうなァ」

「何に困るんだ?」

「だってさァ、勿体ないじゃない?
君やダークみたいな殺し屋が消えちゃうんだよ?
世界から世界遺産を消しているみたいなものだよォ」

「殺し屋は世界遺産と違う。
一緒にするな」

「嫌だなァ例えだよ。
何ムキになっているのさ?」

「俺や紅羽を、お前みたいな殺し屋と一緒にするな」

「…僕みたいって、どういうこと?」

「俺らは確かに昔殺し屋で、沢山仕事をした。
だが、お前みたいに殺された被害者が誰だかわからなくなるほど刺したり撃ったり殺したりはしていない」

「…何が違うのォ?
人を殺すことは一緒でしょォ?」




ヘラヘラ笑うバルシー。





「…目的は何だ?」

「目的?」

「何故お前は殺し屋になった?
理由があるはずだろ」

「理由?
そんなもの存在しないね。
僕は自分の欲求のために殺しをするの。
理由も目的も、存在しないよォ!」




アハハッと狂ったように笑うバルシー。




「そうだ!
玉置さんから、伝言聞いた?」

「ああ、聞いた」

「ちゃんと守ってね?
守らないと、君の大切なモノを壊してあげるカラ」





バルシーは楽しそうにスキップしながら、階段を上って行った。

追いかけることはしない。

まだバルシーが仕掛けた“お手合わせの日”じゃないから。




俺にとって大切なモノを…

壊されるわけには…いかないから。